助成事業

小児がん絵本で「怖くない」=京都①

公益財団法人・正力厚生会のがん患者団体への助成事業に、府内では小児がん患者と家族を支援する京田辺市のボランティア団体「ぶどうの会」(代表=才藤千津子・同志社女子大准教授)、患者本位のがん治療の実現を目指す右京区のNPO法人「京都がん医療を考える会」(清田政孝理事長)が選ばれた。
 関係者は「患者や家族を孤立させない環境作りに、さらに努めたい」と思いを新たにしている。 

 2009年に発足し、才藤准教授と同志社女子大の学生らで構成。九州大病院(福岡市)の依頼で、小児がん患者に治療方法や検査器具、施設を紹介する絵本作りに取り組む。同病院で入院中の子どもたちとの交流も毎年欠かさない。
 11年に初めての絵本「入院なんてこわくない」を作った。作業は、放射線治療で髪の毛が抜けた子どものイラストを描くことや小児がんの表記を使うことなどに悩みながら進めたという。
 患者や家族からは「母親が読み聞かせることで母子ともに入院初期の不安が和らいだ」「CT撮影室に初めて行った時、絵本で見た場所だったので抵抗が少なかった」との声が寄せられた。
 助成金45万円は、新たな絵本やパンフレット作り、家族向けの相談会の開催費に充てる予定。
 才藤准教授は「患者や家族の支えになる活動を、これからも続けたい」と力を込めた。