理事長あいさつ

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 正力厚生会が「がん患者さんとご家族に対する助成」を事業活動の柱にすえたのは、2006年度からです。
 がんの予防は大切なことですが、日本人のおよそ半数が「がん」にかかります。高齢化社会の進行とともに、がんはますます身近な病となっています。

 がん治療法も進化し、医療機関、医師の治療手段や、医療関係者の関わり方も多様化しています。
 その一方で、がん患者さんやそのご家族はがんという病とどう向き合っていくかが、より一層問われるようになっています。医療側、患者側が向き合い、語り合っていく、そうした形でのがんとの共生が大切な時期に来ています。
 がんにかかった患者さんやご家族、そうした人たちに関わる医療関係者に対する助成は、これからさらに重要度が増してくる、と正力厚生会では考えました。

 孤独感にさいなまれ、あふれ出る情報に一喜一憂を繰り返したり、絶望感だけが先行したりしてしまう場合もあるかも知れません。そうした患者さんやご家族が、がんという病と向き合いながら、最後までどのように生きていくか。そうした人たちを少しでも支える力になりたいと考えています。
 正力厚生会は、全国のがん患者団体への助成を続けると共に、医療機関が行う「がん支援事業」への助成も行ってきました。また、全国のがん診療連携拠点病院などに公益財団法人読売日本交響楽団の弦楽四重奏団を派遣する「読響ハートフルコンサート」は、患者さんやご家族だけではなく、医療機関の方々からも「ひと時の癒しになった」と好評を得ています。2007年6月に第1回を開催して以来、全国47都道府県の各地の病院で演奏を披露してきました。
 2018年12月には、これまでの支援事業を総括する意味で、厚生労働省などの後援を得たシンポジウム「がん医療フォーラム2018~がんを知り、がんと共に生きる社会へ」を開催しました。専門医と正力厚生会の助成を受けた患者団体代表者らが活発に意見を交換し、大きな反響を呼びました。
 2019年度には、国立がん研究センターがん対策情報センターの「がん情報ギフト事業」への助成を始めました。全国の図書館へ、がん情報に関する冊子セットを配備する資金を助成するとともに、図書館での研修会開催などを通じて正確ながん情報の普及と周知を図る活動を支援していきます。
 今後とも、さらに質の高いがん患者支援事業の向上をめざしてまいります。
 よろしくお願い申し上げます。

2019年 5月