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病院に癒やしの調べ 読響100回目 府中で親子ら堪能 =東京

読響のメンバー4人による弦楽四重奏に耳を傾ける参加者

 読売日本交響楽団(読響)のメンバー4人による「読響ハートフルコンサート」が13日、都立小児総合医療センター(府中市)で開かれた。闘病中のがん患者やその家族らを慰問しようと、全国のがん診療連携拠点病院などで行われている演奏会で、今回で通算100回の節目を迎えた。
 1階講堂で行われた演奏会には、併設の都立多摩総合医療センターを含む患者や家族、職員ら約180人が参加。読響のバイオリン2人とビオラ、チェロ各1人による弦楽四重奏の美しい音色に聞き入った。
 この日は、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジークから第1楽章」やビバルディ「『四季』から"春"第1楽章」など計11曲が披露された。ラストでは、葉加瀬太郎さん作曲の「情熱大陸」のアップテンポなリズムに合わせ、手拍子して体を揺らすなど、参加者たちは一流奏者による約1時間のライブを堪能した様子だった。
 このコンサートは2007年度から、読響とがん患者らの支援に取り組む公益財団法人「正力厚生会」が共同で開催。23年度までに全国47都道府県の計99か所の病院を回っており、今年度初の都立小児総合医療センターが100回目の記念演奏会となった。子供を対象にした医療機関での開催も初めてだという。
 西東京市の鵜飼達也さん(41)、由紀子さん(35)夫妻は、長女(1)の診療で同センターを訪れた後、親子3人で耳を傾けた。鵜飼さん夫妻は「小さい子が一緒でもいい演奏会は少ないし、貴重な体験になりました。距離が近いのもうれしいし、娘も何かを感じてくれたかもしれませんね」と喜んでいた。
 一方、演奏したバイオリン奏者の井上雅美さんは「すごく反応もよく、真剣に聞いてもらえました。100回もできたのは、音楽を求める患者さんの気持ちをくんでくれた病院側の配慮のおかげです」と感謝していた。今年度は、あと7回の開催が予定されているという。