助成事業

乳がん経験「知識重要」痛感 みんなで知ろうがんのこと栃木 =栃木

 ◆治療実情周知 患者を支援

 がん患者団体などの支援活動を行っている公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成金交付先が決まり、県内からは、任意団体「みんなで知ろうがんのこと栃木」が選ばれた。団体の活動について紹介する。

 先月21日、宇都宮市の清原球場で行われた女子ソフトボールの試合会場で、代表の高橋恵未さん(51)が参加者に声をかけていた。

 高橋さん自身も乳がん経験者だ。看護師として働いていたが、乳がん検診は受けていなかった。知人が乳がんになったことをきっかけに検診を勧められ、45歳で初めて受診すると、自身も乳がんと診断された。「びっくりしました。それまで自分には関係ないと思っていたので」と話す。

 抗がん剤治療をうけ、今もホルモン治療を続けている。治療で体の機能が低下し、「10歳くらい年を取ったような感覚がある」という。当時は、「抗がん剤治療をやるなら、仕事なんてできない」と思い込み、仕事もやめた。「治療を受けながら仕事を続ける人もたくさんいる。でも当時は治療の実情を全然知らなかった。だから、知らなきゃ、伝えなきゃという思いが強くて」

 自身の経験から、病気そのものだけでなく早期検診の重要性など、知識の有無がその後の人生を左右することを痛感した。「命が助かったからいいじゃん、じゃなくて、その先の人生も長いですから」と話す。

 こうした思いや若くしてがんを患った人々との出会いから、2025年1月、がん経験者を含む有志で団体を設立。月に数回、看護師として勤務をしながら、団体の代表として啓発イベントや講演会、ラジオ番組などを通じ、がんの正しい知識や検診の重要性、がん患者を支える制度の周知に取り組んでいる。

 今年度は乳がん啓発のコンサート、産婦人科医を招いた講演会などを予定している。「検診のことや、がんになっても助けてくれる場所や人がいることを知ってほしい。色んな人をつなぐハブのような存在になれたら」と明るく笑った。

 がん患者団体助成事業などの問い合わせは、正力厚生会(03・3216・7122)へ。