がん患者 安らぐ居場所を ホームホスピス運営・なごみの家 神戸2団体助成 =兵庫
がん患者団体などの支援活動を行っている公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成金交付先が決まり、県内からは、神戸市兵庫区の認定NPO法人「神戸なごみの家」など2団体が選ばれた。神戸なごみの家はがん患者らが悩みを語り合える場所を運営しており、理事長の松本京子さん(73)は「ひとりで抱え込まず、安心して過ごせる場所にしたい」と話している。(浜端成貴)
神戸なごみの家は、がんなどで暮らしの継続が難しくなった人たちが、自宅に近い環境で終末期を穏やかに過ごす「ホームホスピス」を同市長田区などで運営している。兵庫区では地域住民らが健康や介護について相談できる「なごみサロン暮らしの保健室」も開き、病気の人や孤立しがちな人の暮らしを支えてきた。松本さんは現在、全国ホームホスピス協会の副理事も務めている。
松本さんは、看護師として長田区の神戸市立医療センター西市民病院に勤務していた1995年、阪神大震災を経験。仮設住宅を訪問する中で、地域とのつながりを失い、孤立やアルコール依存に苦しむ被災者を目の当たりにした。病院で健康面の助言をしても、患者の暮らしには十分届いていないと感じ、「暮らしの中で健康を支えたい」と考えるようになった。
転機は50歳代前半の時。ドイツのホスピスなどを巡る研修に参加した。小さな民家を使ったホスピスで、終末期の人たちが消灯時間などに縛られず、街へ自由に出かけたり、歌を歌ったりしている姿に感銘を受けた。「最期まで自分らしく、楽しく自由に過ごせる場所を日本にもつくりたい」と、2009年に任意団体「神戸なごみの家」を設立し、ホームホスピスの運営を始めた。
ホームホスピスや暮らしの保健室の活動を続ける中で、がんの診断を告げられた本人や、その家族がつらさや不安を抱え、孤立しがちである現実も見えるようになった。23年2月、JR兵庫駅前の民家を改修し、「Cancer Support神戸なごみの家」を開設。患者や家族らが自由に立ち寄り、悩みを打ち明けたり、仲間同士で情報交換したりできる場を提供しており、定期的に医師や薬剤師、がん経験者らを招いた勉強会も開いている。
松本さんは「利用者の皆さんと一緒に居場所を作っていきたい。日常の出来事を聴き、一緒に喜べる場にしていく」と力を込めた。
◇
もう一つの助成金交付先は「ウェル・リビングを考える会」(神戸市須磨区)。がん患者団体助成事業などの問い合わせは、正力厚生会(03・3216・7122)へ。