助成事業

道内から2団体に助成 =北海道

 がん患者団体などの支援活動を続ける「公益財団法人正力厚生会」による今年度の助成対象に、道内からは「北海道クライム」(札幌市清田区)と、「勇者の会」(札幌市中央区)が選ばれた。両団体の取り組みを紹介する。
 
 ◇「北海道クライム」代表 山崎美恵さん
 ◆親ががんの子 学びの場
 北海道クライムは2023年、代表で看護師の山崎美恵さん(57)が設立した。きっかけは、訪問看護師として働く中、がん患者であることを子どもに打ち明けられない親や、親の死を受け入れられない子どもたちと出会ったことだった。がん患者の家族へのケアの重要性を痛感した。
 主な活動として、夏休みや春休みにがん患者の親を持つ道内の小学1~6年生を集めて紙芝居などでがんについて学ぶ機会を設けている。正しく病気を学ぶことで不安を和らげている。8月も札幌市で16、17日の開催を予定している。
 活動メンバーは看護師仲間やソーシャルワーカーら7人で構成。活動費用は全てメンバーが捻出している。負担も大きいが、子どもらは闘病中の親と会えないさみしさを分かち合えることで「気持ちが楽になった」との感想を寄せ、山崎さんらの原動力になっている。
 設立から1年半がたち、子どもたちの交流の輪を広げてほしいとの声が以前より多く届き始めた。
 今回助成団体に選ばれたことで活動に余裕が生まれると期待する。山崎さんは「これからもより多くの家族の手助けをしたい」と意気込んだ。
 
 ◇「勇者の会」代表 阿部美幸さん
 ◆小児がんの子 場所作り
 白血病などの小児がんと闘う子どもたちに学習の場を提供する勇者の会は、代表の阿部美幸さん(52)の長男(17)が小学3年生で白血病になったことをきっかけに設立された。
 激痛が伴う骨髄採取や抜け落ちていく頭髪など、1年以上続いた過酷な入院生活。同じ境遇の親からは「退院してから遅れた勉強を取り戻すのが大変」と嘆く声が上がっていた。学年を遡って勉強を教える塾もない上、無事退院しても頭髪のことなどで不登校になる子どもも多い。「ないなら作るしかない」。長男が退院した2017年、活動を始め、会を発足させた。
 勇者の会は難病を抱える子どもが病院以外でも遊べる場所作りのほか、親同士が相談し合える環境作りにも取り組む。
 これまでは会場を借りる形で活動していたが、今月14日に札幌市中央区に本拠地となる「絆アットホーム」と併設カフェ「花一輪」をオープンした。学習支援の設備や遊具を設けるほか、医療的ケア児も過ごしやすい空間にした。
 阿部さんは「それぞれのライフステージに応じた悩みを支えられるような活動をしていきたい」と語った。