がん患者支援4団体に助成 泉佐野「らふ」など =大阪
◆医療従事者や弁護士 様々な立場で関わり
がん患者らを支援する公益財団法人「正力厚生会」が公募した今年度の助成事業で、府内からは、泉佐野市の一般社団法人「らふ」など4団体が選ばれた。らふは、治療や介護に必要な情報を患者と家族に提供したり、医療従事者との交流の場を設けたりして、「がんになっても自分らしく生きるのに困らない地域にしたい」と活動している。(門間圭祐)
らふは2015年設立。患者・家族のほか、医療従事者、弁護士など約180人が会員となっており、様々な立場の人が語り合う「オンライン茶話会」や研修会・勉強会、市民と交流できるフラワーアレンジメントの講習会などの開催を通じて支援を進めている。
また、患者や家族の日常生活や悩みについて知ってもらおうと、会員のがん患者が看護学校の学生のインタビューを受ける取り組みも続けている。
乳がんサバイバーでもある蓮尾久美代表理事(62)が07年、「闘病中に感じた不安を当事者同士で語り合おう」と患者会をスタートさせたのが始まり。ただ、悩みや相談を聞くうち「当事者のみ」での活動に限界を感じるようになったという。
ある40歳代の女性患者は、幼い子どもを残して亡くなった。病気と闘いながら、自分が死んだ後どうやって子どもを育てていくかを考えなければならなかった。60歳代の女性患者は自宅での治療を望んでいたが、制度について詳しく知る人がいなかったこともあり、訪問看護などを受けさせることができなかった。
「彼女たちに何もできなかった。信頼できる専門家がいれば、どれだけ違っただろうか」との思いから、様々な立場の人が関わる団体の設立を目指し、らふが誕生したという。
今回決まった正力厚生会からの助成金(30万円)で、がん患者をみとった家族が体験を語ったり、患者がファッションショーに出演したりする市民フォーラムを開催したという。蓮尾代表理事は「2人に1人ががんになる時代。生きる力、生き抜く力を育む場所にしたい」と話している。
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府内のほかの助成金交付先は、▽NPO法人「がんと共に生きる会」(大阪市北区)▽NPO法人「つながりひろば」(大阪市中央区)▽関西GIST患者と家族の会(高槻市)。