助成事業

小児がん 家族に寄り添う あまのグループ =愛知

 公益財団法人「正力厚生会」(辻哲夫理事長)が公募した今年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内からは、小児がん患者の家族らへの支援を目指す「小児がん患者会ネットワーク・ピアサポートグループ」(あま市)が選ばれた。メンバーは昨年度から勉強会を開き、患者や家族の心に寄り添った活動を目指している。
 同グループは、小児がん患者の親の会や遺族会、支援団体などで作る「小児がん患者会ネットワーク」の中の一グループで、小児がん患者の家族だった経験を持つ人など有志10人が2021年4月に設立した。患者や闘病を支える家族らの悩み、相談に耳を傾け、寄り添うことで、その人たちの心の負担を和らげることを目的としている。
 「ピア」(PEER)は「仲間」という意味がある。「つまり、同じ経験をした仲間同士で支え合うグループです。医学的な助言はできないが、私たちと対話をすることで、『少し気分が軽くなった』などと感じてもらえればうれしい」
 自身の子どもの看病を経験した代表の伊藤麻衣さん(39)は話す。
 また、伊藤さん同様に子どもの看病を経験したメンバーの一人、下野和香さん(51)も「治療方針などについて保護者に何らかの決断が必要になった時、似た経験をした人に相談することで、保護者自身の考えがまとまりやすくなるということはあると思う」と、支援の効用を話す。
 設立したのがコロナ禍の最中だったため、患者の家族らの話を直接聴くという活動は出来なかったことから、メンバーは、「聴く力」を養うための勉強会を24年10月にオンラインで開いた。メンバー以外の人も含めて43人が参加し、「患者の家族の話を聴くことが、ストレスにならないための心の持ち方」などを専門家から学んだ。
 今秋に予定する第2回では、オンラインに加えて対面形式も取り入れて、話や悩みを聴く技術を磨く。正力厚生会からの助成金はこうした勉強会の開催費用などに充てる。
 伊藤さんは「今後は勉強会だけでなく、実際に保護者たちの話を聴き、寄り添う活動を全国で展開していきたい」と話している。
 勉強会や活動についての問い合わせはグループのホームページ(https://cc‐peersupport.com)まで。