助成事業

がん患者に「第三の家」 金沢のNPO =石川

◆経験生かし交流支援 
 がん患者団体を支援する公益財団法人「正力厚生会」は、今年度の助成対象に25団体を選んだ。このうち、金沢市で活動する認定NPO法人「がんとむきあう会」の取り組みを紹介する。
 同会は、がん患者やその家族らが交流する「元ちゃんハウス」(金沢市石引)で、「病人ではなく一人のひととして」を理念に活動している。がん患者のカウンセリングから料理教室や患者同士の交流会まで様々なプログラムを行っている。
 元々「元ちゃんハウス」は、西村元一さん(2017年に58歳で死去)が中心となって活動を始めた。現在は妻詠子さん(65)が理事長を務め、元一さんの遺志を継いでいる。
 2015年、大腸がんの専門医だった元一さんの胃にがんが見つかり、肝臓に転移していることが分かった。医師とがん患者両方の立場から、「病院の外に、患者にとって第三の家をつくりたい」との思いがあり、16年に元ちゃんハウスが創設された。
 元看護師の詠子さん自身もがんを患った経験があり、「死ぬのかもなあ」と思ったという。こうしたがん患者として感じた戸惑いや悩みが現在の患者を支援する活動に生かされている。
 同会は今年、能登半島地震の災害支援も行っており、全国からの支援物資を預かったりボランティアの人が休む場を提供したりした。
 詠子さんは「解決ではなく解消を。ぜひ活動を知ってもらい、がん患者やその家族が一息できる場であってほしい」と話していた。
 正力厚生会からの助成金は、活動を紹介するコンセプトブックの作成などに充てる。がんとむきあう会に寄付をしている人や住所が分かっている人に配布し、活動を知ってもらうことが目的だという。