助成事業

がん患者支援3団体助成 =宮城

 がん患者団体などの支援活動を行っている公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成金交付先が決まった。県内では、NPO法人「アンドブライツ」(旧ひまわりスマイルプロジェクト)(富谷市)、「パストラル・ハープ ミニストリー」(仙台市若林区)、「ホッとサロンとめ」(登米市)の3団体が選ばれた。患者や家族に寄り添う各団体の活動を紹介する。
 
 ◆小児闘病の実情知って 
 ◇NPO法人 アンドブライツ(旧ひまわりスマイルプロジェクト)(富谷市) 
 代表の千葉友里さん(41)は2022年7月、8歳だった三男の雄太君を小児がんで亡くした。同年9月、小児がんを治療中の子どもや子どもを亡くした家族を支援する「ひまわりスマイルプロジェクト」を設立。「闘病中のつらさや歯がゆさを共有できる場所がなく、誰かとつながりたかった」
 レモネードの販売を通して小児がん患者を支援する米国発祥のチャリティー活動「レモネードスタンド」を30回以上実施。「子どもでもがんになり、雄太のように判明からたった1年で亡くなる子もいることを知ってほしい」という願いが原動力になっている。
 今年4月から、さらに活動の幅を広げるため、NPO法人「アンドブライツ」として活動。助成金は、9月の「世界小児がん啓発月間」に合わせて開くキャンドルナイトに活用する予定だ。
 入院中の子どもやその家族らに絵やメッセージをキャンドルカバーに書いてもらい、ろうそくに火をともして参加者全員で時間を共有しようと考えている。「継続的に開催することで、病気を知ってくれる人が増えるはず」と力を込めた。
 
 ◆お茶会で心に寄り添う 
 ◇ホッとサロンとめ(登米市) 
 毎月の「茶話会」のほか、手芸やアートを楽しむワークショップを開催。市内外から患者や家族が集まり、症状や悩みを打ち明けたり、おしゃべりをしたりしながら交流を続けている。
 代表の鈴木玲子さん(62)は2007年に子宮がんと診断された。当初は引きこもりがちだったが、石巻市で患者が集まるお茶会に参加し、その明るい雰囲気に救われた。「登米にも交流の場を」と10年に同団体を設立した。
 15年からは医療用ウィッグを貸し出し、これまで約100人に協力。職場復帰や最期に寄り添う「みとり」支援も行う。元小学校教諭の女性の「もう一度教壇に立ちたい」との願いをかなえるため、自宅で授業を再現したこともある。
 「自分は一人じゃないということを伝えたい」と鈴木さん。患者同士だからこそ分かり合えることがある。
 
 ◆ハープ奏で患者癒やす 
 ◇パストラル・ハープ ミニストリー(仙台市若林区) 
 ハープ演奏によるがん患者らの心身のケアに取り組んでいる。2017年に活動を開始し、昨年に引き続いて助成団体に選ばれた。代表の横山恭子さん(73)は「患者にはハープの音色を通して安らぎを与えたい」と話す。
 メンバーは12人。病院や介護施設などを訪れ、アイリッシュハープで海外の子守歌や賛美歌を奏でる。時には歌ったり、ハミングをしたりすることも。ハープの音色が癒やしを与え、末期患者の痛みや不安の緩和につながっていると感じる。
 前回の助成金は奏者育成のため、緩和ケアの専門家を招いた勉強会などに充てた。コロナ禍も落ち着き、対面で制限なく演奏できる機会も増えた。「東北各県のハープ奏者を増やし、少しでも多くの患者を癒やしたい」と語る。