助成事業

がん患者支援 2団体助成 =神奈川

がん患者団体などを支援する公益財団法人「正力厚生会」(辻哲夫理事長)が公募した2024年度助成事業の交付先が決まった。県内から選ばれたのは、脳腫瘍患者・家族の支援グループ「Tokyo OT Brain Tumor Network」(川崎市中原区)と、女性がん患者のオンライン交流の場を運営する一般社団法人「ピアリング」(横浜市都筑区)の2団体。それぞれの活動を紹介する。
 
 ◇Tokyo OT Brain Tumor Network(川崎市中原区) 
 ◆脳腫瘍の情報 冊子、HPで 
 がんの中でも発症率が低い上に、150種類以上の分類があるとされる脳腫瘍(Brain Tumor)。患者や家族が求めている具体的な情報を発信し、安心して治療を続けてもらおうと3人の作業療法士(略称・OT)が16年から本格的な活動を始めた。
 その後、理学療法士や看護師らも加わって知恵を出し合い、22年に完成させたのが、団体ホームページ(https://tokyobraintumor.com/)でも公開中の「脳腫瘍サポートブック」だ。リハビリテーションや日常生活などについて医療現場でよく質問される点を32のQ&Aにまとめた。
 今年度は、助成金をもとに読みやすさなどを改善した第2版を発行し、全国約70の医療機関に100部ずつ送る予定だ。櫻井卓郎代表(50)は「悩みを持つ方々のために、少しでもお役に立てれば」と話している。
 
 ◇一般社団法人「ピアリング」(横浜市都筑区) 
 ◆女性対象に交流サイト 
 乳がんや子宮がんなど、女性特有のがんを克服した人や治療中の人が情報交換や交流をする無料の「オンライン患者会」(https://peer‐ring.com/)を運営し、登録会員数は約1万7000人に上っている。
 代表理事の上田暢子さんは自身も「がんサバイバー」。様々な悩みを抱えてSNSに情報を求めた経験から17年に法人を設立した。
 「同じ立場の人」とのつながりを求める女性は多く、交流の輪は年々拡大。住むエリアや治療先の病院、趣味などの共通点を持つ会員のグループが次々に誕生している。活動が多様化する中、より円滑に交流を進めていくにはそれぞれのリーダーの役割が大切。そこで、法人は今年度、助成を使ってリーダーの運営スキル向上を図る研修プログラムを構築することにした。