助成事業

小児脳腫瘍患者を支援 新宿の当事者団体 =東京

 がん患者団体などの支援活動を続ける「公益財団法人正力厚生会」(辻哲夫理事長)は、今年度の助成対象に都内から7団体を選んだ。このうち、新宿区の当事者団体「小児脳腫瘍の会」の取り組みを紹介する。
 「小児脳腫瘍の会」は2002年、神奈川県立こども医療センターの患者家族が設立した院内の患者会が始まり。全国に活動が広がり、現在は、4代目代表を務める新宿区の馬上祐子さん(62)が、専門医を招いた無料の講演会や患者や家族の交流イベントを続けている。
 会員は当事者とその家族ら約280人。小児脳腫瘍は、発症する年齢や部位、症状は様々で、治療による合併症や後遺症が残る人も多い。
 馬上さんの長女(27)も1歳5か月で発症した。頻繁に転ぶようになり、大学病院で調べたところ、直径4センチの腫瘍が見つかったという。合併症は克服したが、今もホルモン治療のため通院を続ける。
 主に進学や就労の相談を受け付ける理事の杉山好美さん(54)は、「小児脳腫瘍の患者には、長期のフォローが必要だ」と強調する。次女(22)は生後9か月で発症した。軽度の身体障害と知的障害が残り、就労には周囲の理解が不可欠だという。会は今後、小児脳腫瘍を経験した人が集い、働けるような拠点づくりも検討していく。
 近年は、副作用の少ない遺伝子治療の研究開発が進んでいる。会では6月2日、江東区で大阪市立総合医療センターの山崎夏維医師を招いた最新の臨床試験に関する講演会を開催する予定だ。馬上さんは、「治療法以外にも、合併症や後遺症、生活の質に関する質疑応答の時間も長く設けるので、ぜひ相談に来てほしい」と話している。
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 助成金の交付団体は次の通り。がん患者団体助成事業などへの問い合わせは、正力厚生会(03・3216・7122)へ。
 ▽NPO法人Ruban Rose(葛飾区)▽NPO法人ホスピスケア研究会(豊島区)▽NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク(千代田区)▽小児脳腫瘍の会(新宿区)▽一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク(千代田区)▽認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク(豊島区)▽がんフォト*がんストーリー(千代田区)