助成事業

予防や治療 講演で啓発 がんフォーラム山梨 =山梨

 がん患者団体やその家族らを支援する「公益財団法人正力厚生会」は、今年度の助成対象に全国の25団体を選んだ。このうち、甲府市朝日の地域コミュニティ広場「花水木」を拠点に活動するNPO法人「がんフォーラム山梨」の取り組みを紹介する。
 県立図書館(甲府市)でがんの予防、治療、療養などをテーマにした講演会やセミナーなど啓発活動を続けている。年代別、性別など属性に応じた内容だ。現在、理事長の若尾直子さん(69)ら20~30人ほどが活動の中核をなす。
 若尾さんは2001年、46歳の時に乳がんと診断された。「皆が思っているより患者は弱い。本当は不安でも、言いたいことを言えない」――。そんな環境を変えたいと一念発起した。
 まずは、自身の経験に基づいて「女性という性を持つ人間の課題について考える」団体・山梨まんまくらぶを04年に設立。その後、「がん対策基本法」を成立させるため、東京に通って患者仲間などと交流、意見交換し、声を合わせて国に法律の必要性を訴えた。
 そうするうち、個々のがん患者はもとより、患者全体への支援が必要との考えに至り、06年、がんフォーラム山梨の前身となる、がんフォーラム山梨実行委員会を発足させ、組織化を図った。自分が始めたことには自分が責任を持たなければならないと、今も県内で仲間を募って活動を続けている。
 一方で、活動を継続することの大変さ、困難を痛感しているのも事実。「ニーズにあったサポートをするには、お金も時間もアイデアも、そして人材も必要」と苦労は絶えない。
 今回、助成の対象となったことを「ちゃんと見ていてくれた」と喜んだ。この助成金を活用して、今後、県内各地に出向き、情報が不足している地域などにも支援を広げていきたいと考えている。「『困ったら相談すればいい』と、皆に頼られる存在になりたい」。若尾さんはそう願っている。