助成事業

がん患者ら音楽で支援 砺波「暮らし音」に助成 =富山

 公益財団法人正力厚生会(東京都)が行っているがん患者団体助成事業の、今年度の助成金交付先が決まった。県内からは、音楽を通じてがん患者とその家族らに癒やしの場を提供している、砺波市の任意団体「CuraciO´n(暮らし音)」が選ばれた。
 5月28日の午後、砺波市本町の真光寺本堂に、がん患者やその家族、地域住民ら約70人が集まった。「『病と生きる』を考える場」として、暮らし音が今年4月に始めた活動「ちゃいむ」の2回目だ。
 参加者たちは、ストレッチや深呼吸などのリラックス法を学んだほか、「バラが咲いた」や「おお牧場はみどり」の合唱やマラカスやタンバリンなどの合奏で、和やかなひとときを過ごした。また、日常生活での悩みや困り事を個別に聞く時間も設けられた。暮らし音は今年度内にあと7回、講師やテーマを変えながら、いずれも市内の寺を会場にちゃいむを開く予定だ。
 暮らし音は2019年、砺波市立砺波総合病院の看護師・山田裕子さん(54)が設立。がん化学療法看護認定看護師の資格を持つ山田さんは、「病院でも自宅でもない場所で、生老病死について考え、心を楽にできる場を作りたい」と考えて団体を作った。今は5人で活動しているという。団体名は、「癒やし」を意味するスペイン語から名付けた。
 心を楽にする手段の一つとして、ちゃいむが大切にしているのが音楽だ。このため活動では、たて琴のような楽器「ライアー」の演奏を披露したり、参加者にトーンチャイムやマラカスなどの楽器を演奏してもらったりしている。
 山田さんが幼い頃から歌うのが好きだったことに加え、近代看護の創始者として知られるフローレンス・ナイチンゲール(1820~1910年)が著書「看護覚え書」の中で、音楽の効果について肯定的に記していることも後押しした。
 現在、活動の深化を図るため、音楽療法士の資格取得を目指している山田さん。
 「病の影響を受けている患者さんや家族の方の体や心に響く活動をしていきたい」と意気込んでいる。