助成事業

手作り帽子 がん患者へ 別府のNPO選出 =大分

◆「気分少しでも明るく」 
 公益財団法人正力厚生会が公募した今年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先が決まり、県内からは別府市のNPO法人「マックネットシステム」が選ばれた。助成金は、がん治療で髪が抜けた患者のために帽子を作って配布する取り組みに充てられる。(門岡裕介)
 同団体は2015年に任意団体として活動を開始し、翌年にNPO法人となり、現在の名称となった。会員はがん経験者やその家族、医療福祉関係者など約50人。
 がんサポート事業に力を入れており、がんサロンの運営や、がん患者らに役立つ情報を載せた冊子の作製、治療で髪が抜けた患者のために帽子を作って無料配布することなどを行っている。
 帽子の製作は3年以上前に始め、伸縮性のある柔らかい生地を使っている。患者の声を参考に頭の形がはっきりわからないようなゆったりとしたデザインで、耳まで覆うことができるようにしている。生地の切り取り、仮縫い、ミシンなど各工程をボランティアが行っている。
 がん治療が始まると、患者は帽子のことまで気が回らなくなることがあるという。武石好春理事長(59)は「寄付で成り立っているので、助成金はありがたい。患者の気分が少しでも明るくなればうれしいので、可能な限り取り組みは続けたい。医療的なことはできないが、今後も医療や福祉で手の回らないところをお手伝いしたい」と話している。