乳がん患者 つなぐ場作り 左京の団体「ソレイユ」 =京都
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2023年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、府内からは「乳がん患者交流会 ソレイユ」(左京区)が選ばれた。関係者は、患者らに寄り添う活動への決意を新たにしている。(岡田優香)
団体が設立されたのは22年4月。京都大病院乳腺外科などが後援しており、同病院の乳がん患者の悩みを聞く個別相談やオンライン交流会を開催している。
代表の岩崎智子さんは12年前、乳がんの告知を受けた。当時小学生と1歳の子どもがいた。抗がん剤治療や手術、ホルモン治療を経て寛解したが、後悔もあった。「同じ病院で治療中の人と話したかったが、行動に移せず孤独感が強かった」。他の乳がん患者と出会い、意気投合したことをきっかけに、患者がつながる場を作ろうと団体設立を決意。賛同してくれた仲間と活動を始めた。
月に1度、岩崎さんら2人の乳がん経験者が、京都大病院近くの京都教育文化センター(左京区)で、患者の個別相談を受け、オンラインでも対応している。
患者同士が情報や意見を交換できるオンライン交流会も開催。治療に対する不安、副作用への対応や医師とのコミュニケーション、仕事との両立など多岐にわたるテーマを扱っている。
「とことん聴く姿勢を大切にしている」と語る岩崎さん。アドバイスをするというより仲間として耳を傾け、尋ねられたら自分の体験を話すこともある。「時間をかけて話すうちに、患者さんが不安や悩みを整理し、乗り越えていく力を発揮できると信じている」
参加者からは「心が楽になった」「本音を話し、共感してもらいほっとした」という声が上がっている。
今後は患者同士の交流会を対面で実施したり、医療者によるセミナーを開いたり、新しい試みにも取り組みたいという。岩崎さんは「気軽に参加できる場所にしたい」と意気込んでいる。