助成事業

「悲しみのケア」に助成金 名古屋の団体 サロン開設 =愛知

 公益財団法人「正力厚生会」が公募した2023年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内からは「グリーフ相談支援ネットワーク」(名古屋市)が選ばれた。助成金はがんで大切な人を亡くした人らのグリーフケア(悲しみのケア)を目的としたサロン開設などに充てられる。
 同団体は20年6月に発足。代表の新田尋美さん(62)は22年前に最愛の夫をがんで亡くし、3年間家を出ることがままならないほど落ち込んだ。自身の経験から、「大切な人を亡くして悲しむのは当然。悲しんでいいんだ、大丈夫だよ」と気持ちを認めて、思いの丈を話せる場所を作ろうと、相談窓口を開設して活動を始めた。
 週に4日は、電話や名古屋市千種区内のサロンで個別面談をして、年にのべ500人の相談を聞いている。中でも、がんで大切な人を亡くした人は、みとり期が心に深い傷となることが多いといい、そうした人を中心に立ち寄りやすいサロンを開こうと助成金を申請した。気持ちの整理をして、主体的に自分を知るためのワークショップも開催する。
 新田さんは、「悲しみは人によってそれぞれ異なる。個人にあったケアを選べて、地域で支えられるようなネットワーク作りをしたい」と話した。