助成事業

助成先に「はまなすの会」 がん患者に「ケア帽子」=兵庫

 公益財団法人正力厚生会による2023年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先が決まり、県内からは、太子町の「はまなすの会」が選ばれた。
 会は2017年11月、西播磨初のがん患者会として設立。代表の太田直美さん(61)は元看護師で、自身も急性骨髄性白血病となり、49歳で骨髄移植を受けた経験を持つ。
 退院直後は水を飲むのが精いっぱいで、ペットボトルの蓋も開けられなかったという。「ほかの人はどう生きているのか」との思いから、回復後、患者会を巡り始めた。しかし、当時は神戸市などにしか会がなく、「それなら作ろう」と思い立った。
 医療や介護に関する講演会や、当事者らが語り合う「がんサロン」を開催。昨年4月には、クラウドファンディングで寄せられた300万円や退職金を使って空き家だった実家を改修し、活動拠点「はまなすの家」を開設した。
 昭和時代の雰囲気を残した家では、サロンのほか、ソフトヨガやアロマトリートメントなども実施。疲れた時に休めるソファもあり、メンバーらのサポートを受けながらくつろげる憩いの場となっている。
 治療などで脱毛した患者のために、ボランティアとともに「ケア帽子」も手作りし、無料で提供している。深くかぶることができる大きめのサイズで、裏地はベタつきを抑えるためにガーゼや綿を使用。縫い目など硬い部分が肌に当たらないように工夫も凝らしている。当事者の声を反映させた優しい帽子は評判を呼び、昨年度は1000枚以上を配布した。
 太田さんは「病気への理解はまだまだ進んでいない。患者が普通に過ごせる状況を作っていきたい」と力を込める。