助成事業

がん患者の声 映像制作 岩手ホスピスの会に助成 =岩手

 がん患者らを支援する公益財団法人「正力厚生会」が公募した今年度の助成事業で、県内から患者や家族に体や心の痛みを語ってもらう映像を制作する「岩手ホスピスの会」(盛岡市)が選出された。
 同会は2002年、がん患者や家族で結成された。当時の県内には、がん患者の苦痛や不安を和らげる「ホスピス」のような施設がなく、卵巣がんで妻を亡くした川守田裕司代表は、妻の力になれなかったことが心残りだった。そこで、「岩手にもホスピスを作り、緩和ケアを広げたい」と患者や家族で話し合い、同会を作った。現在、約240人の会員がいる。
 同会はこれまで、がん患者の痛みを理解してもらおうと、講演会を中心に活動してきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で思うように活動できなくなったため、映像制作に乗り出した。現在、患者や家族らに闘病の苦しさなどを語ってもらい、映像に収めている。年内に約20分にまとめ、医師の研修会などで上映したいとしている。
 川守田代表は「コロナ禍でも映像で当事者の声を紹介し、患者に寄り添った緩和ケアにつなげたい」と話している。