助成事業

喉頭がん 自宅でも発声訓練 「銀鈴会」 =東京

 がん患者団体などへの助成事業を行っている公益財団法人正力厚生会の今年度の助成対象に、都内からは港区の公益社団法人「銀鈴会」など10団体が選ばれた。
 喉頭がんの手術では、がん細胞とともに、声を出すために使う「声帯」を摘出するケースがある。銀鈴会では、声帯を摘出した患者を対象に、喉の粘膜や筋肉を使って発声する訓練に1954年から取り組んでいる。
 コロナ禍の前は週3回、都障害者福祉会館(港区)で訓練を行っていた。しかし、発声訓練は口から飛沫(ひまつ)が飛ぶ上、参加者には高齢者が多く、緊急事態宣言が出ている時期などは訓練を休止した。
 そこで、自宅でも同様の練習ができるよう、訓練の様子をDVDに録画し、全国の病院や障害者福祉施設などに配ることにした。以前作成したDVDよりも訓練の方法やコツ、訓練による成果を詳しく解説するという。50万円の助成金を制作費に充て、今秋にも完成する予定だ。
 同会顧問の吉原俊雄・東京工科大教授によると、早い人では訓練を始めて3か月ほどであいさつや会話ができるようになるという。渡辺操会長(69)は「継続して行うことが上達のコツ。コロナ禍でも諦めずに続けることが大事」と話した。