助成事業

がん患者 語らうサロン 福島のNPO =福島

 公益財団法人正力厚生会の2022年度がん患者団体助成事業の助成金交付先が決まり、県内からは福島市のNPO法人「がんピアネットふくしま」が選ばれた。助成金はシンポジウム開催費用などに充てられる。
 がんピアネットふくしまは、東日本大震災でがん患者も避難を余儀なくされたのをきっかけに、2015年に発足した。十分な治療を受けられない患者を包括的に支援しようと、震災前から活動してきた県内13団体によってつくられた。現在、54人の会員がいる。
 県内7地区でそれぞれ定期的にサロンを開催。がん患者やその家族、医療従事者らが卓を囲む。病気の話に限らず、近況や悩みを気軽に語り合える場になっている。
 今月12日、郡山市で開かれたサロン――。60歳代の女性患者は非常勤講師として昨年働いたことを紹介。仕事を引き受ける前は「体調を崩すと生徒に迷惑をかけるかもしれない」と悩んだが、サロンを通して勇気をもらった。授業の資料作りなどにやりがいを感じ、前向きになれたという。
 がんピアネットふくしまではほかにも、日中に働く患者向けのナイトサロンや、麻雀(マージャン)サロンなど、様々な集いの場を設けている。鈴木牧子理事長(67)は「若手サポーターの養成など、これからも活動の幅をどんどん広げていきたい」と語る。
 9月上旬には福島市でがん患者向けにシンポジウムの開催を予定。慰安コンサートも計画している。