助成事業

がん患者支援4団体 助成 =福岡

 公益財団法人正力厚生会が公募した今年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先が決まり、県内からは4団体が選ばれた。このうち、「柳川タオル帽子の会」(柳川市)、「NPO法人がんのママをささえ隊ネットワークETERNAL BRIDGE」(福岡市)の計2団体の活動を紹介する。
 
 ◆手縫い 脱毛の悩み和らげる 
 ◇柳川タオル帽子の会 
 2018年1月に発足。現在の会員は柳川市に住む50~70歳代の女性20人で、フェースタオルで帽子を作り、抗がん剤治療による脱毛に悩む患者に無料で提供している。
 前会長の野田千砂子さん(70)らによると、市社会福祉協議会からの依頼がきっかけで活動を始めた。野田さんも乳がんを患ったことがあり、会員の中には、他にもがんとの闘病を経験した人や家族もいるという。
 同社協がある柳川総合保健福祉センター「水の郷」に毎月第1、第3土曜日に集まり、一針一針手縫いして作製する。フェースタオルは市民からの寄付のほか、会費や社協からの助成金で購入。帽子は市内や佐賀県などの医療機関や患者に届けており、これまでに約500個を提供した。
 新型コロナウイルスの影響で、思うように活動できない状況が続いているが、「患者の皆さんは一般の人以上に不安な日々を送っている」と、それぞれが都合をつけながらできる範囲で活動を続けている。
 他の団体と交流し、スキルアップや人脈作りにつなげたいと助成金を申請した。野田さんらは「活動を多くの人に知ってもらい、患者により楽しんでもらえるよう色物タオルの寄付を多くの市民に呼びかけたい」と考えている。
 
 ◆気持ち伝えるスタンプ計画 
 ◇NPO法人がんのママをささえ隊ネットワーク ETERNAL BRIDGE 
 メンバーの医療従事者らが、子育て世代の女性がん患者やその家族の生活面の相談に乗ったり、患者同士の交流会を開いたりする活動を福岡市を拠点に2016年から続けている。代表の山田佳代子さん(69)は「(助成金を生かして)患者や家族の不安を笑顔に変える仕組みを作りたい」と意気込む。
 活動は、山田代表の長女で副代表を務める金城(かねしろ)舞さん(42)の呼びかけで始まった。乳腺専門医の金城さんは、治療と子育ての両立を迫られている母親たちを診療する際、3児の母である自身を重ね合わせて、「担当外の患者にも、支援の輪を広げたい」との思いを強くしたからだ。
 助成金の使い道として、がん患者ら向けに、無料通信アプリ「LINE」用のメッセージ付きのスタンプ作成を計画している。かわいらしい女性の絵柄に、「今日は気分がいい」「いつもありがとう」などと、家族や友人とのやりとりで使える文言を添える予定だ。文言は、当事者から意見を募った。
 スタンプは、今秋の販売開始を目指し、約40種を準備中。金城さんは「治療中は、周囲に素直な思いを伝えることが難しい場合もある。コミュニケーションツールとして役立ててほしい」と期待する。