助成事業

乳がん患者同士 交流を 名古屋の団体に助成金 =愛知

 がん患者団体の活動を支援している公益財団法人「正力厚生会」の2021年度の助成金交付先に、県内から患者同士の交流や支援などに取り組む「乳がん体験者の会PiF(ぴふ)」(名古屋市瑞穂区)が選ばれた。代表の木全裕子さん(56)は「乳がんを体験した女性が前を向いて生きていくための情報を伝えていきたい」と話している。
 木全さんは09年に乳がんを経験。当時、治療や乳房の再建方法などの情報集めが難しかったこともあり、病院で知り合った患者仲間と同会を12年に設立した。PiFは、誰かから受けた恩を別の人に送る「恩送り」の英語訳「Pay it Forward」の頭文字で、治療中に受けた恩を、同じ乳がん患者らに返そうという思いを込めている。
 会員は、患者や元患者ら約300人。患者らが、乳がん治療を経験した女性から、乳がんの治療や乳房再建の方法などを聞くことができる「おしゃべり会」では、乳房再建した女性の胸を実際に見たり、触ったりすることもできるという。乳がんの専門医を招いた講演会も開催している。
 助成金は、新型コロナウイルスの感染対策として、おしゃべり会や講演会をオンライン開催するための動画編集費や講師への謝礼金に充てる。講演会は動画サイトなどに公開している。
 木全さんは「家族や友人には話せなくても、同じ病気を罹患(りかん)しているからこそ話せることがある。ぴふは、治療などの体験を聞き、仲間を作り、笑顔になれる場所です」と話している。
 公式ホームページは「乳がん体験者の会PiF」で検索。問い合わせはメール(pif.on.pif@gmail.com)。