助成事業

乳がん2団体 助成 =広島

 公益財団法人「正力厚生会」が公募した2021年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内からはNPO法人「ひろしまピンクリボンプロジェクト」(呉市に移転予定)と、「乳腺疾患患者の会のぞみの会」(尾道市)の2団体が選ばれた。それぞれの代表者にこれまでの活動内容や、今後の抱負などを聞いた。(岡田優香、佐藤行彦)
 
 ◆出前授業や冊子作成
 ◇ひろしまピンクリボンプロジェクト
 乳がん治療に関わる医療従事者が2016年12月に設立した。若者に病気について知ってもらうための高校での出前授業や、抗がん剤治療の副作用で脱毛に悩む女性向けの医療用ウィッグ(かつら)に関する冊子の作成など、県内で様々な活動を展開してきた。
 月に1度、開催する交流会「まちなかリボンサロン」では、専門医が症状や治療法について伝え、患者らの日頃の悩みや相談に応じている。新型コロナウイルスの影響で活動を休止した時期もあったが、現在はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使ってサロンを再開。県外の患者も参加するようになった。
 理事長を務める広島大乳腺外科講師の角舎学行(かどや・たかゆき)医師(54)は、「少しでも多くの患者の力になりたい。団体のホームページで質問を受け付けており、困ったら気軽に連絡を」と呼びかけている。
 
 ◆患者400人 励まし合い
 ◇乳腺疾患患者の会のぞみの会
 県内の乳がん患者約400人が所属する。県東部と西部でそれぞれ年4回開く定例会では、専門医による講演会や栄養士による食事指導、患者同士の勉強会などを催している。
 会は、1993年に皮膚科医の浜中和子会長と同僚の看護師の2人で設立した。ともに乳がんを患ったことがきっかけだった。「当時は乳がん患者が悩みを共有する場がほとんどなかった。励まし、支え合うことが生きる希望につながる」と浜中会長は説く。
 定番の活動は春の温泉旅行。治療で切除した乳房を温泉で見られるのをはばかる人でも、乳がん患者となら気兼ねなく入れるとの思いからだ。
 乳がんは女性がかかるがんの第1位だが、症状が進行しても受診をためらう人がいるという。浜中会長は「乳がんへの理解を深め、一人でも多くの命を救うために尽力したい」と話す。