がん患者にタオル帽子 岩手ホスピスの会 =岩手
がん患者や家族を支援する公益財団法人「正力厚生会」が公募した今年度の助成事業で、県内からはタオルで作った帽子を、抗がん剤による脱毛で悩む患者に無料で配布している「岩手ホスピスの会」(盛岡市)が選ばれた。
同会は、2002年にがん患者や家族らで結成された。当時、県内には、患者の苦痛や恐怖を和らげるホスピスのような施設はなかった。妻をがんで亡くしていた川守田裕司代表(64)は、「がん患者の痛みを和らげる医療が充実してほしい」と思い、会を作ったという。帽子作りは、吉島美樹子事務局長(59)が、脱毛で苦しむ患者の家族から相談を受けたことがきっかけで、08年に始まった。吉島事務局長も、悪性リンパ腫で髪の毛が抜け、頭にタオルを巻いていたことがあり、洋裁が得意な母に作り方を教わったという。
会員は現在約300人。毎月20~25人ほどが、盛岡市総合福祉センターに集まり、年間1万個ほどのタオル帽子を全国の病院に届けている。市内の高校で講習会を開くこともある。
吉島事務局長は「患者がいる限り活動を続けていきたい」、川守田代表は「がん患者の思いを社会に届け、若い世代にも伝えていきたい」と話している。