助成事業

頭頸部がん患者 語らう場 後遺症の苦労など =京都

 公益財団法人「正力厚生会」が公募した2020年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、府内からは「頭頸(とうけい)部がん患者と家族の会Kyoto」(西京区、長谷川信枝代表)が選ばれた。

 同会は15年3月に設立。頭頸部がんは鼻や舌、のどなどのがんで、患者数はがん全体のうち5%程度という。事務局長を務める高校教師の山内拓司さん(59)は52歳の頃、発症し、リンパ節を切除した。後遺症として、唾液が出なくなって味覚が変わったり、食べ物をのみ込みにくくなったりした。そうした頃、インターネットで頭頸部がんに関するブログを見つけ、長谷川代表や大阪府、滋賀県に住む患者と知り合い、「一度、集まってみましょう」という話になったのが会につながった。

 3か月に1回程度のペースで、京都市内で患者会を開いており、50~60歳代の10~20人程度が参加。手術や治療の後に後遺症が残っていても「周りの人たちに分かってもらえない」といった心情をお互いに吐露し、同市立病院のがん専門看護師から、医療的な助言も受ける。自身の経験談が、新規参加者の治療中の不安を和らげることもあり、「自分が役立っていると思うと、元気になる」と話す。

 同会では、今回の助成金を活用し、ホームページを刷新。今秋には、設立5周年記念として京都市内で講演やシンポジウムを予定していたが、新型コロナウイルスの影響で開催は不透明な状況という。

 今年に入ってから患者会も開けていないが、山内さんは「ホームページを通じて交流は続けているので、今後も前向きに活動していきたい」と話している。