AYA世代がん患者支援 「どうするBOKS」に助成 =大阪
◆弁護士や社労士 就労相談など親身に対応
がん患者やその家族を支援する公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成団体として、患者向けの相談支援団体「どうするBOKS」(大阪市北区)が選ばれた。AYA(思春期・若年成人)世代の15~39歳のがん患者を支援しようと、同団体は助成金(35万円)を使い、がん患者の体験談などを掲載したホームページ(HP)を年内中に設ける方針。
同団体は2015年1月、弁護士や社会保険労務士、看護師らをメンバーに設立。がんや難病などの患者から寄せられる就労や社会保障などの相談に対し、無料で応じている。相談件数は年間約100件に上るといい、団体代表の江川浩司さん(45)は「患者や家族に寄り添い、治療だけでは解決できない悩みをサポートするのが役割」と話す。
同団体が力を入れているのがAYA世代のがん患者支援で、18年にはAYA世代の患者を対象にした意見交換会を開催。就職や結婚、出産など人生の大きな節目とも重なる一方、周りに同じ悩みを相談できる相手が見つかりにくく、「悩みを共有できる場がほしい」という患者の声を受け、HPの製作を企画することにした。
団体では、すでに開設している公式HPの一部に、闘病生活を経験したAYA世代の患者約10人の体験談をインタビュー形式で掲載する予定。患者の抱えていた悩みに対し、団体のメンバーからのコメントも掲載。専門家のアドバイスも盛り込み、課題の解決に役立ててもらう。
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、患者のインタビューにはオンラインの活用も検討している。江川さんは「経験者の体験を伝えることで、患者さん自身の生きる助けにもなる。医療従事者や周りで支える人にも、患者がどんな悩みを抱えているのか知るきっかけにしてもらえれば」と話している。