助成事業

がん患者 支え合いの場 2団体助成 =愛知

 がん患者やその家族を支援する公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成事業に県内からは2団体が選ばれた。代表者にこれまでの活動内容や、今後の意気込みなどを聞いた。

◆就労・治療 悩み共有 

◇一般社団法人「仕事と治療の両立支援ネット―ブリッジ」(名古屋市千種区)

 自らも難病と闘うコンサルタント業の服部文さん(49)が中心となって2012年に活動を始めた。現在は主に5人のメンバーで、患者や企業、医療従事者ら向けに、意見交換会や個人面談などに取り組んでいる。

 今回の助成金は、がん治療や就労支援について話し合う「ブリッジ研究会」や、患者同士が悩みを共有し合うワークショップ開催に充てる。イベントを通じて、「相手がどういう状態で、何に困っているのかを知ることが大切だ」という。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、現在は活動を縮小しているが、ウェブ会議導入など、新たな支援方法も検討する。8月には「肺がん」をテーマにした研究会を開催予定で、服部さんは「新型コロナは、がん患者の就労にも大きな影響を与えている。仕事と治療の両立支援への取り組みを絶やさないようにしていきたい」と話している。

◆医療者と共に学ぶ 

◇「肺がん患者会 ワンステップしゃちほこ」(豊明市)

 患者や家族と医療者が共に学び、共に生きることを目指して、野村由利夫さん(64)が17年3月に設立。自身のがん治療を通して、周囲から治療薬の複雑さなど不安の声を聞き、患者同士で気持ちを分かちあえる地域の場を作りたい、との思いがきっかけだった。

 東海地方の病院で月に1、2回、治療に関する講演会と患者と医療関係者を交えた少人数のおしゃべり会を開く。治療法への質問や抱える悩みを話し合うことで、「患者力の向上」と「がん医療の発展」を狙う。これまでに延べ1000人以上が参加した。

 現在は新型コロナの影響で活動を中止しているが、来月以降、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って、オンライン患者会を開く予定で、今回の助成金を充てたい考えだ。

 野村さんは「治療に悩む方や相談しづらいと感じている人にも参加してほしい。情報弱者でも参加できる簡単なシステムも進めていく」と意気込んでいる。