助成事業

手作りブラ 術後快適 西宮のがん患者団体 =兵庫

◆ワイヤなし、かわいい布 「苦痛和らげたい」 

 がん患者らでつくる西宮市のグループ「がん・ピアサポート Camomille(カモミール)」が、乳がんなどで手術を受けた女性が快適に着けられるブラジャーを手作りする講座を定期的に開いている。公益財団法人正力厚生会の2019年度がん患者団体助成事業に選ばれており、伊勢上(いせがみ)雅世代表(47)は「患者さんの肉体的、精神的な苦痛を和らげることができれば」と語る。(三枝泰子)

 伊勢上さんは10年に悪性リンパ腫と診断され、胸に直径約10センチの腫瘍も見つかったが、半年後に寛解。当時は医師らに伝えられなかった治療のつらさを分かってほしいと、12年からブログに闘病記を書き始めた。

 ブログ読者の患者らと昼食会を開くようになり、「こういうふうに集まりたかった」と喜ばれたことから、15年にグループを発足させた。正力厚生会の助成は18年度に続き2回目。今年度は1、2か月ごとにブラ作りの講座を開いたり、がんフォーラムに参加したりしている。

 手作りブラは、ワイヤを使わず、縫い合わせた2枚の布の上下に通したひもを結んで着用する。10月下旬には、市内に集まったメンバー4人がより使いやすくするための改良法を検討し、医療用ブラの形を参考にしたり、着物用の腰ひもを使って着け心地を確かめたりして、「腰ひもは安定するけれど、かさばるね」「医療用は機能的だけれど、地味」と意見を出し合った。

 作業の合間には、互いの体調を気遣い、検診の数値も報告。17年前に胸腺に悪性腫瘍ができて手術したという女性(45)は、手作りブラについて「綿素材で気持ちがいいし、快適」。3年前に右乳房を全摘出した女性(45)は「市販品は手術痕が痛くなる。かわいい絵柄の布で作って明るい気分で過ごしたい」と笑顔だった。

 会には、肺がんなどで開胸手術を受けた女性らからも「ワイヤが痛い」「締め付けられる」などの悩みが寄せられるといい、伊勢上さんは「手作りブラは布製だからコンピューター断層撮影法(CT)検査の時も着けたままで大丈夫だし、いろんな症状の人に応用していけたら」と話している。