がん患者に支援情報提供 玖珠のNPO法人に助成=大分
◆冊子作成し配布も
公益財団法人「正力厚生会」が公募した、2019年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内から患者や家族を支援するNPO法人「マックネットシステム」(玖珠町日出生)が選ばれた。武石好春理事長(55)は「いろんながんサポート体制があることを、多くの人に知ってもらいたい」と話している。(田中博之)
「現行の福祉制度ではまかないきれない支援を充実させたい」。15年、患者、家族、看護師、医療ソーシャルワーカーらが前身の任意団体「マックネットサービス」をスタートさせ、翌年、NPO法人格を取得し、現名称に変更した。
独立行政法人・国立病院機構「別府医療センター」(別府市)などと連携し、医療・福祉の施設情報などを集約し、ホームページで公開するのが活動の柱の一つ。もう一つは、がんサポート事業で、会員らが様々な研修会に出向き、体験談を講話したり、患者や家族らの交流の場「がんサロン」の運営に協力したりしている。
インターネットが不得意な高齢者らにも、確実に情報が伝わるようにするため、冊子「がんサロンBOOK」(A5判、14ページ)も作成。各地のサロンの場所、開催日時などを紹介していて、これまでに約500冊を発行した。1冊ずつ、手作りのため配布先が限られていたが、今回の助成金で、業者に委託して約1万冊を作る予定だ。冊子配布後の参加者の変化などをサロン担当者に尋ねるアンケート費用にも充てる。
理事の竹友優子さん(37)は16年、卵巣がんと診断され、摘出手術後、抗がん剤治療を受けた。入院中、高齢の患者からアドバイスを受けたが、同年代の患者は少ない。再就職や、今後の結婚、出産などについて、どこに相談していいのかが分からず悩んでいた。がんサロンに参加して仲間が増え、少しずつ、不安が解消していった。「情報を共有できる場の必要性を実感した」と振り返る。
治療が終わっても、生活、仕事、再発の恐怖など患者たちの悩みは消えない。武石理事長は「今後も長期にわたる悩みをサポートできる場を応援していきたい」と話す。活動の問い合わせは、武石理事長(090・5082・9172)へ。