助成事業

がん悩み 対話で和らげ 仙台の団体に助成=宮城

◆柔和な笑顔で歓迎 

 公益財団法人「正力厚生会」の2019年度がん患者団体助成事業で、県内では、がん患者や医療従事者が交流する「がん哲学外来 仙台チャウチャウ会」(仙台市青葉区)が助成金交付先に選ばれた。子宮がん経験者の代表、佐藤まどかさん(55)は「同じ悩み、不安を抱える人たちが率直に語り合える場を増やしたい」と話す。

 チャウチャウ会は18年6月に発足した。団体名にある「がん哲学外来」とは、順天堂大医学部名誉教授の樋野興夫(ひの・おきお)さんが造った言葉で、がん患者や家族と生きる意味を共に考え、悩みを対話で和らげる場のこと。13年に仙台市内で樋野さんの講演を聞き、佐藤さんは「そんな場が仙台にもあったらいいな」と思うようになった。1998年に子宮がんと診断されて以来、ずっと同じ病気を経験した人に会って、治療選択や病気を抱えながらの生活について本音で相談したいと思っていたからだ。

 2017年に再び市内で開かれた講演会の後、思い切って樋野さんに直接相談。翌18年の講演会後、集まった県内のがん経験者3人で意気投合し会を結成、樋野さんを顧問に迎えた。団体名は、チャウチャウ犬のような柔和な笑顔で患者を迎えようという思いを込め、樋野さんが考えた。

 3人で作った案内チラシを市内の病院などで配布し、同年11月から、約2か月に1度、市内の公民館などで定例会を開く。12月には樋野さんを招き、がんとの向き合い方などについて55人が語り合った。

 今後は心理学者の講演や看護師による面談なども計画。佐藤さんは「家族や友人に相談しにくいことも同じ病気を経験している人になら話せる場合がある。がん患者の不安を少しでも減らせるよう支え合いの輪を広げたい」と話している。