女性のがん支援に助成 熱海の団体に=静岡
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2019年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、熱海市の認定NPO法人「オレンジティ」が選ばれた。河村裕美理事長(52)は「動画配信サイトを開設し、女性特有のがん患者に必要な情報を届けたい」と話している。
「オレンジティ」は、卵巣がんや乳がんなど女性特有のがん患者による自助組織。きっかけは、河村理事長自身が32歳の時に子宮頸(けい)がんに罹患(りかん)したこと。子宮と卵巣を全摘し、排尿障害などの後遺症に苦しんだ。東京に患者会があったが、距離が遠く通うことは難しかった。そこで、「同じように悩む女性がいるのでは」と、新聞を通じて参加を呼びかけ、02年から活動を始めた。
主な活動は県中部、県西部、東京都で月1回ほど開く座談会だ。女性特有のがん患者は、排便障害や性機能障害、子どもが産めなくなるなど、周りに相談しにくい悩みを抱えやすい。こうした悩みを共有することで、孤立しがちな患者の居場所づくりをしている。また、抗がん剤治療による肌の黒ずみで周りの目が気になる女性も多く、メイク教室も開いている。
活動は寄付に頼っており、座談会だけでは参加者が限られる。助成金を活用して座談会で寄せられた悩みに答えたり、メイク方法を紹介したりする動画をインターネットで公開していきたいという。
河村理事長は「動画を通じて女性がよりよい生活を送り、社会参加できるようにしていきたい」と話している。