助成事業

がん患者の絵本作り 助成 子どもと話すきっかけに=東京

 がん患者やその家族を支援する公益財団法人「正力厚生会」の今年度の助成事業の一つに、子育て中のがん患者でつくる一般社団法人「キャンサーペアレンツ」(中央区)の「えほんプロジェクト」が選ばれた。

 メンバーが絵本を作り始めたのは2017年から。「がんについて子どもと話すきっかけに」との思いから、十数人の有志で取りかかった。どのメンバーも絵本作りは初めてだったが、物語の構想、描画から出版社探しまで自分たちでやり通した。

 そして18年12月、抗がん剤のため全身の毛が抜けた母親と娘の日常をユーモラスに描いた「ママのバレッタ」(税抜き1500円、生活の医療社)を出版。がん患者の目にとまりやすいよう病院を中心に置いてもらっている。

 プロジェクトのリーダーで、長女が中学生のときに乳がんになった小田村美歌さん(51)(世田谷区)は「がんになったらできないことが増え、かわいそうとレッテルを貼られがち。だけど、新しい出会いや挑戦もあり、できることはたくさんある」と楽しく活動している。

 正力厚生会から30万円が助成され、現在は第2弾の絵本を製作中だ。小田村さんは「助成はありがたい。一人でも多くの人に読んでもらえるよう有意義な活動にしていきたい」と話している。