助成事業

がん患者同士で発声練習 患者家族翌檜会=山形

 公益財団法人「正力厚生会」が公募した2019年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、がん患者同士の発声練習などを行う団体「患者家族翌檜(あすなろ)会」(真室川町)が選ばれた。代表を務める金山光男さん(81)は「今後も、がん患者たちを支えていく活動をしていきたい」と話す。

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 県立新庄病院(新庄市)の3階会議室で、4月に行われた発声練習。金山さんと男性会員2人が集まり、食道の中に空気を送り込み、げっぷのように逆流させながら声を出す「食道発声」などで、最近の出来事や大型連休の予定を話し合った。

 発声練習は基本的に毎月第1、第3木曜に、この会議室で実施している。

 金山さん自身、がんになり手術で声帯を取り除いた。満足に話せなくなった衝撃は大きく、ストレスを抱える日々だったという。

 そんなとき、喉に当てて使う「電気式人工喉頭」により、再び自分の意思を言葉で伝えられるようになった。会について「自分のように、話せず苦しい思いをしている人たちの力になれれば」と語る。

 現在は同病院の協力で、声帯を取り除いた患者に会の活動を紹介してもらうなどして参加を促しており、約20人の会員がいる。

 発声練習だけでなく、秋の芋煮会など季節に合わせた催しも。会員同士の家を訪れ、声帯を失った本人はもとより、周囲の家族などとも交流を深めている。

 金山さんは「活動を通して、最上を明るい地域にしていきたい」と、今後に向けて意気込んだ。