働くがん患者 集える場 「はーべすと」に助成金=奈良
◆生駒のカフェでサロン 月1回土曜 気軽に話を
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2019年度の助成金交付先に、県内からは、がん治療と仕事の両立を支援する患者団体「はーべすと」(奈良市)が選ばれた。働くがん患者が集うサロン「らふ会」を月1回開いている。自身も乳がんの手術をした辻本由香代表(51)は「患者にとって同じ立場で相談し合える仲間がいるのは大変心強い。必要な支援を続けたい」としている。(福永正樹)
「はーべすと」は、治療と仕事の両立が必要な20~50歳代の働く世代のがん患者を支援しようと、17年9月に発足した。同じ悩みを抱える人が気軽に集える場として、昨年5月から月1回、生駒市のカフェでサロン「らふ会」を開催している。
県内には、ほかにも病院や保健所、患者会が開くサロンがあるが、平日の昼間の開催で年齢層が高い場合が多いといい、辻本代表は、「働きながら治療する若い患者が、参加しやすい環境をつくりたい」と開催を決めた。
らふ会では、仕事や子育てと治療を両立する上での思いや、治療費、治療に伴う外見の変化などの悩みや対策を、お茶を飲みながら気軽に話し合い、情報交換している。
今後は、ファイナンシャルプランナーや看護師らによる講演会のほか、退職者の就労支援に取り組む講師や、治療と仕事を両立できている人を招いたシンポジウムの開催も計画している。要望があれば個別の相談にも応じるという。
辻本代表はファイナンシャルプランナー。父を肝臓がんで亡くし、自らも乳がんになった経験も踏まえ、がん検診の必要性や経済的な備えの大切さを伝える活動に取り組んでおり、今年2月には本も出版した。
辻本代表は「がんになったことを周囲に言えず、悩んでいる人は多い。サロンでは同じ立場で遠慮なく話してほしい」と参加を呼びかける。看護師の資格を持つ中西恵理副代表(46)も「患者である前に一人の生活者としてより良く生きていくお手伝いがしたい」としている。
らふ会は、毎月1回土曜日の午後2時から生駒市小瀬町の「カフェ メリメロ」で開催。次回は25日。参加無料で、お茶代は実費。問い合わせはメール(info@harvest‐kansai.com)で。