がん情報サイト 運営団体に助成 病院検索など支援後押し=大阪
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2019年度の助成金交付先に、府内からはがんの治療法や、患者の生活に関する情報を集めたサイトを運営するNPO法人「大阪がんええナビ制作委員会」(大阪市北区)が選ばれた。行政が公開している情報を患者や家族目線で活用できるよう工夫し、発信しているのが特徴で、全国でも珍しい取り組みという。
制作委員会は患者が納得するがん治療の実現や死亡者を減らすことを目的に、がんの患者会などが10年12月に設立した。理事長は、「がんと共に生きる会」のメンバーだった浜本満紀さん(60)。母親と友人を大腸がんで亡くした経験から、患者や家族向けの情報提供を熱心に行うようになった。
サイトは11年3月に公開。インターネット上のがん関係のニュースや講演会、患者の交流イベントなどの紹介に加え、府内の拠点病院65施設の中から部位別の手術件数や、様々な治療法の実施状況を確認できる「がん診療スピード検索」を導入した。17年12月のリニューアルで内容を充実させており、閲覧数は当初の月約8000件から現在は2倍に増えている。
力を入れるのは、糖尿病や心臓病、精神疾患などの治療状況も調べられる「病床機能データ検索」の更新。リニューアル時に追加したサービスで、引用した府のデータは各病院の状況を表にしているだけだが、診療機能を検索できるよう改良し、自宅や職場周辺の複数の病院を調べられるようにした。検索項目についても、項目の図解を設けるといった工夫を考えている。
患者会には「がんも持病も十分に治療できるか不安」といった相談が寄せられている。浜本さんは「がん情報の収集と同時に、ほかの病気も調べられるように工夫したい」と意気込んでいる。