在宅ホスピス団体に助成 ボランティアを養成=新潟
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2018年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、在宅ホスピスケアのボランティア養成に取り組む「にいがた在宅ケアねっと」(新潟市中央区高志)が選ばれた。代表の斎藤忠雄さん(63)は「住み慣れた地域や自宅で最期を迎えられる社会にしたい」と話す。
在宅ホスピスケアは、医療、介護の専門家らが連携し、末期がんなどの患者が病院ではなく自宅などで過ごせるように手助けするもの。同団体は斎藤さんが院長を務める「斎藤内科クリニック」(同)が中心となり、11年4月に発足した。同院と訪問薬局、訪問介護、訪問看護、ケアマネジャーがチームを組む。訪問診療などを通じて患者の心身の痛みを和らげ、本人と家族を支援してきた。
斎藤さんによると、専門家だけで24時間対応することは不可能で、「専門職の隙間を埋めるボランティアが欠かせない」という。ボランティアは患者の話し相手になったり、散歩に付き添ったりといった仕事を担うが、ホスピスケアや医療の知識も必要だ。このため同団体は16年に初めて、ボランティア講座を5回にわたり開催。約60人が受講したが、継続的に活動できる人材の育成が課題となっていた。
今年度は、実際に身内を看取(みと)った経験のある人を中心にボランティア養成講座を開くほか、遺族のグリーフケア(悲しみのケア)、講演を通じた啓発活動などに取り組む計画だ。斎藤さんは「患者さんは住み慣れた自宅だからこそ心の痛みも体の痛みも和らぐもの。在宅での看取りにさらに力を入れていきたい」と話している。