助成事業

乳がん伝える人形劇 患者会初上演へ=長野

 松本市の乳がん患者会「桜むね」(吉沢英子代表)の童話劇クラブが、乳がんについて子どもたちに伝える人形劇を作った。手術で乳房を失った祖母と、孫娘の変わらない愛情をテーマにしたファンタジーで、6月5日、同市の保育園で初めて上演する。活動は公益財団法人正力厚生会公募した今年度のがん患者団体助成事業に選ばれた。
 人形劇の主人公は、祖母との入浴を楽しみにしている6歳の女の子。ある日、「胸に傷が出来た」と胸を隠すようになっていた祖母が突然いなくなり、体から離れたおっぱいが眠る「眠りの畑」で花になってしまった。
 女の子は悪魔に惑わされながらも、祖母がいかに大切な人なのかを考え続けて、元の姿に戻していく。「隠さないで、そのままで大丈夫なんだよ」。人形劇の最後、女の子は祖母にそう語りかける。
 「桜むね」は2010年に設立。乳がんで乳房の摘出手術を受けた女性のために、布製の胸パッドを製作する講習会などを開いてきた。活動の中で、「乳房を失ったことを子や孫にどう説明すればいいのか悩む」との声が上がり、昨年4月頃、分かりやすく伝えるための手段として人形劇の創作を決めた。
 台本は吉沢代表が下書きし、会員の話し合いで練り上げた。人形も会員の手作りだ。上演は白板保育園で行われ、東京都や千葉県の会員らも加わり、計6人で人形や小道具を操る予定だ。
 吉沢代表は「人形劇を作ることで、悩んでいた患者の心も整理できた。子どもたちの反応を見ながらレベルアップしていきたい」と話している。