助成事業

乳がん自己検診カード 金沢の市民団体に助成金

 日本人女性の11人に1人がかかるとされる乳がんの早期発見につなげようと、金沢市の市民団体「BCSG石川」(山口節枝代表)が、自分で触診する方法などを載せた「自己検診カード」を作成し、県内外の患者会などに配布している。活動が高く評価され、公益財団法人「正力厚生会」の今年度のがん患者団体助成事業の助成金交付先に選出された。山口代表(71)は「自分の体をいとおしむ気持ちを持ってほしい」と話している。
 同団体は、47歳で乳がんを患った山口代表らが1999年に設立した。行政に対して、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)検査の導入や、患者と医療者の情報の共有を働きかけたことが活動の始まりという。
 自己検診カードは、2002年に作成し、現在までに約7000枚を配布。今回の助成金も新たなカードの作成に充てる。
 10年からは週に1度、電話相談の受け付けも始めた。臨床心理士などから講習を受けたがん経験者らが、手術後の症状や治療方法の疑問について、患者やその家族からの相談に応対している。多い時は、月10件ほどの相談があるという。
 16年の厚生労働省の人口動態統計では、女性の乳がん死亡数は1万4013人にのぼる。「胸のしこり=乳がん」と捉えられがちだが、個人差があり、皮膚の腫れや患部からの出血などの症状もある。山口代表は「医師も患者も対等な立場であるべきだが、患者が正直に話せる場所は少ない。少しでも力になれれば」と話す。
 会員は現在約120人で、うち約4割を患者が占める。医師や看護師経験者などもおり、2年前まで看護師だった金沢市の谷本弘美さん(63)は「医療側と患者の隙間を埋めていく役割ができれば」と話す。
 同団体では、自己検診カードの配布を希望する団体や企業を募集している。