助成事業

心安らぐ語らう場提供=山形①

 公益財団法人「正力厚生会」が公募した2017年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内からは、乳がん患者会「すずらんの会」(酒田市)と、咽頭がんで声帯を切除した患者や闘病体験者の交流会を主催する「翌檜(あすなろ)患者会」(真室川町)が選ばれた。両団体が取り組んでいる活動を紹介する。
 ◇乳がん患者会「すずらんの会」(酒田市) 
 ◆心安らぐ語らう場提供
 庄内地域の乳がん患者と支援する医師や看護師らが2007年2月に発足させ、今年で10周年。日本海総合病院(酒田市)を拠点に患者同士の語らいの場を設け、乳がんの治療や検診などの正しい知識を広めるための活動を続ける。
 日本人女性の12人に1人がかかるといわれる乳がんは今でこそ、多くの人が検診を受けるなど、理解が進んできた。しかし、発足当初は、乳がん患者であることを人に言いづらい雰囲気が世の中にあった。
 会では毎月1回、同病院の会議室で「おしゃべりルーム」を開き、悩み事を吐露したり、抗がん剤治療で毛髪が抜け落ちてもおしゃれを楽しむアイデアなどの情報交換をしたりし、患者の心が安らぐ場を作ってきた。
 近年、治療や検診などの正しい知識を伝える「ピンクリボンアドバイザー」資格を取る会員も増え、啓発活動に力を入れる。会の活動などをまとめた冊子を作成し、配布する予定だ。
 検診で乳がんが見つかり、治療した経験のある小田万里子事務局長(60)は「会の集まりを生きがいにしている人たちのため、活動を一層充実させたい」としている。