声失う悩みに寄り添う=山形②
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2017年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、県内からは、乳がん患者会「すずらんの会」(酒田市)と、咽頭がんで声帯を切除した患者や闘病体験者の交流会を主催する「翌檜(あすなろ)患者会」(真室川町)が選ばれた。両団体が取り組んでいる活動を紹介する。
◇翌檜患者会(真室川町)
最上地域を中心に、咽頭がんなどの手術で声帯を切除し、声を失った人や、その家族らが毎月2回、一緒にレクリエーションなどを楽しみながら近況を語り合う場を提供している。
自らも声帯を失い、電気式人工咽頭を喉に当てて会話する金山光男会長(79)は「患者の支えとなるよう、今後も集会を続けたい」と語る。患者の中には、つらい発声練習に取り組んでいる人も少なくない。思っていることを声に出すという、健常者だった頃は当たり前のことができないストレスを発散し、互いに支え合える場は欠かせない。
また、交通手段がなく、家に引きこもりがちな患者宅を訪ねて、話に耳を傾ける巡回訪問活動にも力点を置いている。命を守ることと引き換えに声を失う声帯の切除に踏み切るべきかどうかなど、患者は皆、切実な悩みを抱えている。金山会長ら経験者が、手術後の困難をどのようにして乗り越えてきたかなどを語り、励ますことで患者たちに寄り添う。
金山会長は「会員も高齢化し、年々減っている。今回の助成を励みに、会に参加する患者や家族らの輪を広げていきたい」と意欲を見せた。