助成事業

「肺がん患者の会」に助成金=神奈川

おしゃべり会で肺がんに関する自作の冊子を配る長谷川さん(左)(東京都千代田区で)

 公益財団法人「正力厚生会」の2016年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、肺がんに関する周知活動に取り組む団体「肺がん患者の会 ワンステップ!」(横浜市保土ヶ谷区)が選ばれた。代表の長谷川一男さん(45)は「肺がんを正しく知るとともに、患者同士が仲間となり、支え合いましょう」と話している。

 長谷川さんは10年2月、骨まで転移が進んだ肺がんが見つかり、余命10か月と宣告された。喫煙の経験もなく、「なぜ自分が肺がんに」と落ち込むなか、同じがん患者が開設したインターネットのブログや掲示版の情報が助けや励みになったという。

 しかしブログなどは開設者が亡くなると更新が止まってしまうことが多い。また、首都圏には患者同士が情報を交換したり、気持ちを分かち合ったりする「場」がないとも感じていた。

 長谷川さんは最新の放射線治療を受け、12年には右肺を全摘。宣告された余命期間を大きく超えたが、15年初めに新たな転移が見つかった。これをきっかけに「迷っていたら、自分が望む場所は永遠につくれない。いまやるしかない」と、同4月に同会を設立した。
 活動の中心は2か月に1回の「おしゃべり会」。主に都内で開かれ、毎回30人ほどが集まる。会費無料で会員数は現在約320人。長谷川さんのように「治らない」と告げられた患者が多いという。

 おしゃべり会では、治療方法や治療費などの疑問や不安を経験者の話を聞きながら話し合う。「経験者の意見を聞くことで、納得して治療を受けられる。『患者力』のアップにつながる」と長谷川さんは話す。

 仕事はフリーランスのテレビディレクター。会などで配布する冊子ではその手腕を生かし、患者や医師のインタビュー記事などを掲載している。15年11月には全国の6患者会で「日本肺がん患者連絡会」を結成するなど、ネットワーク作りにも力を入れる。「この会が蓄積した知恵や経験を通して、主体的にがんと関わっていってほしい」。長谷川さんはそう願っている。 

 問い合わせはホームページ(http://www.lung‐onestep.jp/)へ。