タオル帽子 不安和らげて=福島
「タオル帽子」を作る会員たち(会津若松市の大熊町仮役場で)
公益財団法人「正力厚生会」が公募した2015年度がん患者団体助成事業の助成金交付先に、抗がん剤治療で髪の毛が抜けた患者にタオル製の帽子を寄贈しているボランティア団体「タオル帽子会あいづ」(会津若松市)が選ばれた。代表の五十嵐まりいさん(67)は「副作用に対する不安を和らげ、病気に立ち向かう手伝いをしたい」と話している。
五十嵐さんは、抗がん剤治療で髪が抜けた患者の中には人の目を気にして面会を拒んだり、買い物に行けなくなったりする人がいると聞き、2010年1月、友人3人と活動を始めた。個人や企業から新品のフェースタオルを寄付してもらい、会員が自宅などで手縫いしたものを病院を通じて患者に贈っている。抗がん剤治療を経験した副代表の鈴木加代さん(79)は「闘病中はつらかった。他の人に同じ思いをしてほしくない」と思いを語る。
約5年間で会員は22人に増え、県内外に計約1万枚の帽子を配った。型紙を作って誰でも簡単に作れるようにしたり、子供の患者向けにパンダや人気キャラクターをデザインした物も作ったりして工夫を重ねた。
12年からは、東京電力福島第一原発事故で避難してきた大熊町民も加わった。週1回、町仮役場の一室で約10人が針を動かす。町ボランティア連絡協議会会長の岡部タカ子さん(73)は「私たちが受けた支援への恩返しになればうれしい。避難生活のストレス解消にもなる」と笑顔で話した。
現在、材料のフェースタオルが不足しているといい、五十嵐さんは未使用品の寄付を呼びかけている。