助成事業

オストメイト 生活改善に力=神奈川

 オストメイト(人工肛門や人工膀胱(ぼうこう)を持つ人)の生活環境改善を目指して活動する公益社団法人「日本オストミー協会 神奈川支部」(藤沢市)が、公益財団法人「正力厚生会」が公募した今年度の「がん患者団体助成事業」の対象に初めて選ばれた。事務局長の須田紗代子さん(66)は「悩みを抱える仲間をサポートする支援者の育成に役立てたい」と話している。
 同支部の会員は、横浜、川崎を除く県内31市町村のオストメイト約400人。相談会や講演会などを毎月実施したり、会報を発行したりして、日常生活の悩みや不安の解消に取り組んでいる。オストメイト用の多目的トイレでも、装具を置くための棚がないなど、実用に即していないトイレも少なくないといい、行政や鉄道会社に改修の要望も行っている。
 5年前から取り組んでいるのは、オストメイト自身が支援者となり、オストメイトになったばかりの人や不安を抱える人の精神的サポートを行う事業だ。
 支援者は各地で開かれる相談会などに出向き、自らの体験を踏まえて助言などを行う。支援者を育成するため、年1回、医師や看護師、大学教授などを講師に招いた研修を行っており、今回の助成金10万円も、研修費用に充てられる。
 須田さんは29歳の時、潰瘍性大腸炎のためオストメイトになった。それでも8年前まで会社勤めをこなし、現在も長期旅行を楽しんでいるという。「ありのままの元気な姿を見てもらうことで、通常の生活に戻れるという安心感が得られる。そのためにも、数多くの支援メンバーを育てていきたい」と話している。