助成事業

乳がん手術後 安心胸パッド 正力厚生会の助成対象に=長野

 公益財団法人正力厚生会の2014年度「がん患者団体助成事業」の助成対象に乳がん患者会「桜むね」(松本市)が選ばれた。
 同会は乳がんで乳房の摘出手術を受けた女性のため、手作りの布製胸パッドを製作している。
 代表の吉沢英子さん(55)は左胸に腫瘍ができ、06年に全摘手術を受けた。10年に同会を発足。当初は患者同士の交流の場を提供することが目的だった。手術後、病院で購入したシリコン製の胸パッドが高価で、夏場に蒸れることに悩んでいた吉沢さんのために、母親の温子さん(82)が作った胸パッドが患者仲間から好評となり、翌11年から製作と改良を進めてきた。
 2年ほど前から、月に1回は松本市や東京都、名古屋市などで患者自身が胸パッドを手作りする講習会を開いており、延べ約700人が参加している。作業をしながら、互いに悩みを打ち明けられる場所にもなっている。
 手術後、体を見られるのに抵抗を感じ、温泉に入りづらくなった患者も多い。吉沢さんは地元・浅間温泉の宿泊施設の女将(おかみ)たちと協力し、今年9月、都内で温泉利用の悩みについて意見交換会を開く計画だ。吉沢さんは「患者たちが安心して旅行できるきっかけになってほしい」と意気込む。