がんサロン充実へ助成金=島根
がんと向き合う手助けをする「島根益田がんケアサロン」(益田市)が、公益財団法人・正力厚生会(東京)の2013年度がん患者団体助成事業の交付対象に決まった。サロンの設立や運営方法を指南する研修会「がんサロン支援塾」の開催費として役立てられる。(小林隼)
島根益田がんケアサロンは2005年12月、県内初のがんサロンとして開設。益田市在住の納賀良一代表(75)が自身のがん経験から「医療の地域格差を放っておいていいのか」と疑問を抱き、仲間を求めたのがきっかけ。現在は益田赤十字病院で定期的に会合を開いている。
患者同士が悩みを打ち明ける交流の場として始まったが、がんと立ち向かうには患者も医療知識を備えることが必要と考えて、医師ら専門家を交えた勉強会に発展。県や市、議員にも協力を求め、がん施策の強化や県がん対策推進条例などの制定に結びつけてきた。
サロンでは患者・家族、医療、行政、議会、企業、メディア、教育の7者が連携した「七位一体」のがん対策を提唱し、島根モデルとして県内外の注目を集めている。さらに昨年から宗教、建築、人生(社会)を追加した「十位一体」を掲げており、僧侶や建築家、一般市民にも対象を広げた。現在は在宅医療の充実に関心を寄せている。
サロン支援塾は11年から毎年企画。「島根のがんサロン~そのパワーと秘訣(ひけつ)」と題して、8月24、25日に益田赤十字病院で開く。これまで体験談の発表が中心だったが、今回から患者の目線に立った具体的な助言に重点を移す。納賀さんは「命の重みは同じはずだが、都会で受けられる最先端の治療は地方では望めず、患者自身が成長するしかない」と力を込める。