助成事業

NPO「一喜会」選ばれる=高知

 がん患者とその家族が交流するサロンを開くなどしているNPO法人「一喜会」(高知市一宮東町)が、公益財団法人正力厚生会による2013年度がん患者団体助成事業の助成対象に選ばれた。長女のスキルス性胃がんの手術を機に、会を設立した安岡佑莉子・名誉会長(64)は「より良い治療が受けられるよう、最新の情報を提供していきたい」と決意を新たにする。(夏井崇裕)
 長女の中島英子(あやこ)さん(36)(高松市)がスキルス性胃がんと診断されたのは1999年。22歳の英子さんは医師に余命1年と宣告された。安岡さんは「スキルス性と言われても何なのかわからず、戸惑ってしまった」と振り返る。
 治療に関する情報を集めるうち、「病気と立ち向かう勇気を持つには、病気を知らなければならないと思った」と安岡さん。しかし、手術で胃の4分の3を摘出した後、抗がん剤の副作用との闘いが待っていた。「患者会があれば」との思いを新聞の投稿欄に寄せると、賛同する声が寄せられ、2002年に約30人と会を設立した。
 現在の会員は約100人。院内に患者会のある病院などで月に一度開くサロンに集まり、持ち寄った料理を食べながら治療や闘病生活を語り合う。座り続けるのが苦痛な患者に配慮し、会員が所有する古民家で、横になりながら話をすることもある。
 そのほか、会報誌の発行や相談会などを実施。安岡さんはがんに関する学会に出席して最新情報を集め、要望に応じて医師の説明に同席するなど、患者の不安を軽減する活動に取り組んでいる。
 助成額は20万円。5月に高知市で開催する講演会に充てる予定という。安岡さんは「同じ思いの人が集まり、言いたいことを話すことで気持ちは楽になる。少しでも闘病生活が改善できる環境づくりをしていきたい」と話す。