島根がんサロンに助成金=島根
公民館講座で自身の経験を語る納賀さん(益田市の吉田公民館で)
がん患者の立場から病院、行政、地域と一体となった対策に取り組んでいる「島根がんケアサロン」(益田市)が、公益財団法人正力厚生会の「がん患者団体助成事業」助成対象に選ばれた。助成金は、島根の先駆的ながんケアサロンの運営方法を伝授する「がんサロン支援塾」の開催費用に充てる。(小川紀之)
益田のがんケアサロンは2005年12月、患者で代表の納賀良一さん(74)らが、県内の他地域に先駆けて開設。現在、益田赤十字病院を拠点に患者・家族の交流会、医師・専門家を招いた治療法などの勉強会を定期的に開いている。
開設当初は、患者が不安を語り合い、病気に向き合う知識を身に着けるための場だったが、病院医師、県内の他のサロン、県担当者との意見交換、患者側からの提言へと、段階的に活動の幅を広げ、患者の思いや経験を、県の施策に反映させるまでになった。サロンから発信する患者主体のがん対策が、全国の医療・行政関係者の注目を集めている。
支援塾は昨年に続き2度目の開催。県外の関係者を対象に参加者を募集し、7月14、15日、益田赤十字病院で開催する。県内のがんサロンの経緯、県、市や地域との交流のあり方を、経験をもとに伝える。
全国へ情報を発信する一方、納賀さんは、今年2月から、地域の公民館講座で講演を始めた。19日、吉田公民館であった講座では、がん宣告後の生き方、考え方の変化を振り返り、「自覚症状が出たらすぐに病院にかかることが必要」と呼びかけた。「島根のがん対策は患者・家族、行政、議会、企業、医療機関、メディア、教育の七位一体」が納賀さんのモットー。がん患者や医療機関の取り組みにとどまっていた対策に、幅広い層の関わりを増やすため、サロンは進化を続けている。