助成事業

桜むねの会を助成 正力厚生会 胸パッド製作 乳がん患者団体=長野

乳がん患者用の胸パッド製作に取り組む吉沢さん(松本市渚で)

 乳がんで乳房の摘出手術を受けた女性のための胸パッドを製作している乳がん患者会「桜むねの会」(松本市)が、公益財団法人正力厚生会の2012年度「がん患者団体助成事業」助成対象に選ばれた。東日本大震災を受け、「プライバシーのない避難所でも使えるようなさりげないものを」という仲間の声を生かしてパッドの改良を重ねるなど、地道な取り組みが評価された。
 桜むねの会は左胸の全摘手術を受けた吉沢英子代表(53)が10年4月、乳がん患者仲間十数人と結成した。きっかけは、吉沢さんが患者として得られる情報の少なさに困惑したこと。乳房を摘出した胸は衝撃に弱く、パッドが必要になるが、シリコン製などの既製品は高価で、どれを選んで良いかも分からなかったという。
 現在の会員数は県内外25人。パッド利用者は100人を超えた。会員や関心を持った人が集まる月1回の講習会では、胸パッドと手作りキットを販売し、互いの悩みに耳を傾け合う。「夏場に蒸れないパッドがほしい」といった要望を受けて、さらさらした生地を採用するなど、様々な工夫を凝らしている。
 今後は、埼玉、栃木県などでも講習会を行う予定。吉沢さんは「皆さんの体や心の痛みから生まれた大切なパッド。もっと広い地域の人に知ってもらい、情報交換したい」と意気込んでいる。
 次回の県内での講習会は、31日午後2時、松本市中央公民館(Mウイング)で行われる。