「がん時代」いきいきと 和歌山のNPOに正力厚生会助成金=和歌山
◆患者同士の交流サポート
がん医療の向上を目指し、患者の交流会や検診の啓発活動などに取り組むNPO法人「いきいき和歌山がんサポート」(和歌山市)が、公益財団法人正力厚生会の「がん患者団体助成事業」助成対象に選ばれた。助成金は、患者会の代表らが交流する「第1回県がん患者大会」に充てられ、理事長で公立那賀病院乳腺外科の谷野裕一医師(48)は「2人に1人が、がんになる時代。がんになってもいきいきと暮らせる和歌山にしていきたい」と意気込む。(落合宏美)
患者や医師、看護師、県議らが集まり、昨年4月に結成。現在、会員は約80人で、患者同士が不安や悩みを語り合う月1回のサロンのほか、患者や家族が、がんのメカニズムや治療方法などを学ぶための講演会、がん検診の受診啓発活動を行うなどしている。
会結成のきっかけは、谷野医師が、患者と医療従事者の“距離”を感じていたことだった。「体に異変を感じても相談する場所がわからない」「医師に何を質問すればいいのか……」。医師が考えているよりも患者は戸惑い、早期治療の機会も逃していることがあった。
そんな現状に「医師が患者の声をしっかり聞くだけでなく、患者自身も病の知識を身につけ、適切な説明を求められれば、医療水準が上がる」と考えた。
21日のがん患者大会は、患者同士の連携を深めるために、いきいき和歌山がんサポートが主催し、和歌山市内で初開催。11の患者会や家族会の会員らが参加した。活動報告などを行い、横のつながりを密にするとともに、がん対策推進条例の制定や、患者が長期間継続する放射線療法・化学療法を専門とする腫瘍(しゅよう)内科の設置を目指し、協力し合うことを誓った。
会の活動はまだ始まったばかりで、谷野医師は「これからも患者同士の交流をサポートし、患者にとって良い医療というものを作っていきたい」と話す。
いきいき和歌山がんサポートの連絡先は(073・499・4641)